[40]予ひずみ材の延性き裂伝播評価法
上田幸雄、村川英一(阪大)、谷川雅之(日立造船)
衝突荷重を受ける船側構造のき裂伝播挙動を解析するためには、き裂が発生するまでに外板が受けた塑性変形の影響を明らかにする必要がある。本詮文では予ひずみ材のき裂伝播実験とFEMによるシミュレーション解析を行い、予ひずみを考慮した実用的なき裂伝播解析の方法について検討を行った。

[41]補強板の複数直列疲労き裂の伝播寿命について(英文)
角洋一(横国大)、Zeliko Bozic(横国大院)、井山内史、川村恭己(横国大)
経年船体構造における危険な疲労き裂の一形態として、規則的構造配置に起因する直列複数き裂の伝播問題が最近注目を集めている。本研究では、平板および3本のスチフナを有する補強板について単一き裂と3個の直列き裂がある場合の疲労き裂伝播挙動を実験および数値シミュレーションによって検討した。さらに、船体甲板構造の補強材を切断し、外板に進入した複数直列き裂の伝播挙動を数値シミュレーションにより解析し、部材増複数直列き裂の伝播寿命が、平板の単一き裂伝播に比べ著しく短かくなる可能性があることを示した。

[42]重畳ランダム荷重下におけるアルミニウム合金溶接継手の疲労寿命推定(続報)
−高周波成分の影響−
高橋一比古、前中浩、高田篤志(船舶技研)
A5083P−O材の角回し溶接継手を対象に、残留応力測定、静的載荷及び弾性FE解析、定振幅及び重畳ランダム疲労試験を実施し、種々の検討を加えた。
重畳ランダム荷重としては、直流成分十狭帯域ランダム過程の上に高周波成分を重ね、その影響をみると共に、寿命推定に及ぼすカウント法及び平均応力補正の影響について調べた。前報で提案した、2次元Rain−flow法→修正Goodman補正→修正Miner則という寿命推定プロセスは、本研究の場合にもやはり有効であった。

[43]溶接構造の統一的な度労強度評価法に関する研究−板厚と溶接脚長の組合せに対するホットスポット応力算出法について−
仁瓶寛大、稲村文秀、公江茂樹(川崎重工)
様々な脚長比l/t(脚長/板厚)のT字・十字溶接継手に対して、引張・曲げ荷重下の溶接止端近傍の応力分布をBEM解析により求め、溶接ビードによる応力集中の影響がおよばなくなる溶接端からの距離Xhasを算出した。これより、Xhasをl/tの関数として表現し、様々なl/tに対するすみ肉溶接構造の1点代表ホットスポット応力σhs、の算出法として「σhs=σ(xhas)」を提案した。また、疲労試験により、上記評価手法の有効性を実験的に確認した。

前ページ 目次へ 次ページ